先日行われた日米首脳会談で基本合意されたのが、防衛予算をGDP比2%、つまり倍に増やす事。
そこでクローズアップされてくるのが、日本を含む多くの国が米国から兵器を購入する際に利用する「FMS協定(Foreign Military Sales:対外有償軍事援助)」です。本記事では、FMS協定の概要、メリット・デメリット、日本における運用状況について解説します。


FMS協定の概要
FMS(Foreign Military Sales)は、米国政府が外国政府に対して武器や軍事関連装備を販売する制度です。FMSを利用すると、兵器の売買は 「政府間取引(G to G:Government to Government)」 という形で行われます。これは、日本の防衛省・自衛隊が直接メーカーと契約するのではなく、米国国防総省(DoD)が仲介する仕組みです。

FMS協定の特徴
米国政府が価格や納期を管理
民間企業との直接契約(DCS:Direct Commercial Sales)ではなく、米国政府が価格交渉や契約管理を行うため、透明性が高いとされています。
米軍と同仕様の装備を調達可能
米軍が使用している最新の装備や技術を同じ基準で調達できるため、相互運用性(インターオペラビリティ)が確保されます。
米国側の供給管理下に置かれる
購入した装備の使用や維持管理に制約が課せられることがあります(例:第三国への転売禁止など)。

FMSのメリット・デメリット
メリット
✅ 最新技術の兵器を導入できる
✅ 米軍との共同運用が容易になる
✅ 契約詐欺や価格つり上げのリスクが低い
デメリット
❌ 価格が高騰しやすい
米国政府の手数料や管理費が上乗せされるため、市場価格より高くなる傾向があります。言い値で買わされるので防衛予算をいくら積んでも足りない、この部分がぼったくりと言われる所以です。
❌ 納期の遅延が発生することが多い
米軍向けの優先供給などの影響で、日本側の納入が遅れるケースがある。
❌ 契約の柔軟性が低い
一度契約すると仕様変更が困難であり、カスタマイズにも制限がある。
日本におけるFMSの利用状況
日本の防衛装備調達ではFMSの利用が増えています。例えば、以下のような装備はFMSを通じて購入されました。
• F-35戦闘機
• イージス・システム
• E-2D早期警戒機
• 高機動ロケット砲システム(HIMARS)
近年、日本政府はFMSのコスト上昇や納期遅延を問題視しており、国会でも度々議論されています。防衛装備庁は、FMSに依存しすぎないよう国内開発や他国との共同開発も検討しています。


まとめ
FMS協定は、米国製兵器を購入する際の主要な仕組みですが、価格の高さや納期遅延といった課題もあります。今後、日本の防衛政策において、FMSをどの程度活用するのか、どのようにコストを抑えるのかが重要な課題となるでしょう。
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